秩父の秩父館(建築家・関根要太郎の故郷を訪ねる)その４

◆秩父の秩父館(ほっとすぽっと秩父館)
　　　・・・・秩父の旧道沿いに建つ、築１３０年の和風旅館建築とその客室


　こちらで紹介するのは客室として使われていた２階部分。１階は机・椅子を設置した喫茶スペースにする為に床張りに改修されたが、２階は以前と同様の畳敷きで旅館時代の雰囲気を伝える再生がおこなわれていた。
　修繕前にも家主さんのご好意により、２階には何度も上がらせていただいたが、十間ちかい長さがある建物一面に張られたガラス窓からの眺めは相変わらず壮観。そして２階の畳敷きの部屋に座れば、かっての旅人気分を味わえる風情ある空間でもある。詳しくはこの後に掲載した写真をご覧いただきたい。
　
　また建築家・関根要太郎は、昭和１１年に実家の秩父館について以下のような感想を当時の建築雑誌に発表している。〔※1〕
『古い伝統の滅び行く今日、奇しくも此の建築が昔のまま保存されている事は、故郷の山川や草木と共に感慨や無量である・・・・。』
そして７０年後の現在、秩父館は新たな命を吹き込まれ、人々の新たな交流の場として蘇った。是非とも実際に訪れて頂きたい、力強く美しい建物である。

〔※１〕・・・・日本建築士、昭和１１年１０月号、『旅泊余滴』関根要太郎著より
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　　　◆秩父館の2階部分
★２階の旧客室

現在、襖が取り外されているが、旅館時代は道路際に面して４部屋の客室が設けられていた。
襖の向こうには六畳の部屋がもう一つある。
★秩父館の２階窓より

向かいに見える森は秩父神社の敷地。
★秩父館２階より見た甲府方面

この前を通る道が秩父と甲州を結ぶ〔秩父往還〕。道の先には秩父の山々が見える。
また〔秩父往還〕のルートの途中には、海抜二千メートルの雁坂峠があり、かなり難所の街道だったようだ。ここから数キロ先からは急坂・難所コースが始まる。

★秩父館２階より見た寄居・熊谷方面

秩父から江戸へ向かうのは荒川沿いを通り、寄居・熊谷方面に抜けるのが一般的なルートだった。
★２階の梁

１階の梁も豪快だが、２階もご覧のような重厚な梁が付けられている。

★2階廊下
★2009年川瀬祭りにて
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★撮影・・・・２００８年５月、2009年7月(再撮影、一部差し替え)
※また今回で秩父館の紹介を終了させていただきます。これまで有難うございました。