函館海産商同業組合事務所(建築家・関根要太郎作品研究)・・・・その１２

◆函館市内にて再活用された海同会館の調度品
　　・・・・建築家・関根要太郎、山中節冶設計作品研究


　今年２月から続けてきた建築家・関根要太郎(1889～1959)、山中節冶(1895～1952)設計による、函館市末広町に現存する函館海産商同業組合事務所(大正９年竣工、通称・海同会館)のレポートも本日で最終回。
　約一ヶ月半に渡りこの建物の建設に関する話や、建設後の話、同じような写真を何度も繰り返し掲載させていただいたが、最後に紹介したいのが函館海同会館で使われていた調度品の話。前回にも触れさせていただいたがこの函館海同会館、平成５年７月に起きた北海道南西沖地震で建物が大きな損傷を受け、その後地元で会社を経営されるＩさんの多額の寄付により、保存修繕がおこなわれ現在に至っている。

　実はこのときの改修工事にて、函館海同会館で竣工当初から使われていた調度品の多くが不要になり廃棄されるところだったが、同建物の保存に携わったある方がこれらの調度品を引き取り、函館市内にて第二の人生を歩んでいる。今回はその物件と、調度品の幾つかを紹介してみたいと思う。

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◆函館元町港ヶ丘教会〔旧日本基督教会函館相生教会〕

　函館海同会館から徒歩３分程度の、老舗レストラン〔五島軒〕の向かいに建つ。この教会内の照明器具は、函館海同会館の三階大広間で使われていた四基のうち二基の照明器具が再活用されている。
　また同教会は昭和９年の函館大火後に建てられたもので、昭和４０年代に同教団の教会が移転し長らく空き家になっていたが、昭和５０年代半ばから喫茶店・ギフトショップとして再生活用され、現在はウエディングチャペルとして使われている。函館の古建築再生のパイオニア的な物件である。

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◆函館の高台に建つ邸宅

　詳しい場所についてはお教えできないが、函館西部地区の高台に建つとある邸宅。
　大正末から昭和のはじめころ、日魯漁業の幹部の邸宅として建てられたものだという。こちらの邸宅の洋館内にも函館海同会館で使われていた調度品が幾つか保存されている。

★函館海同会館で使われていた照明器具

　この照明器具は元町港ヶ丘教会と同じく、函館海同会館３階大広間で使われていた四基の照明器具の中の一つ。洋館の天井装飾ととてもマッチしている。

★函館海同会館で使われていた照明器具と椅子

　同邸宅の洋館の出窓部分。写真では少し分かりづらいかも知れないが、小さな照明器具も海同会館で使われたものだという。また写真下に写る椅子も海同会館から譲り受けたもの。恐らく竣工当時から使われていたものと思われる。
　なお海同会館の椅子は同邸宅のほか、市内豊川町にあるとあるワインバーにて再生活用されている。この椅子などの写真は機会があれば再度紹介してみたいと思う。

※この邸宅の一般公開はされていません。ご了承ください。
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　また今回で建築家・関根要太郎、山中節冶設計の函館海産商同業組合事務所の研究レポートを終了させていただきます。皆様、長いあいだ有難うございました。
　〔ブログ製作者より〕
★撮影・・・・２００２年４月・６月、２００３年６月、２００４年６月