雪の函館・末広町界隈、その２(はこだて坂のある町の風景)

◆雪の函館・末広町界隈の大正モダン建築巡り


　今年の冬は例年になく寒い日々が続いていますが、皆様いかがお過ごしですか？。
　今回は以前に引き続き、函館末広町に現存する大正中期から後期に建てられたオフィスビルディング(事務所建築)を中心に紹介してみたいと思います。この末広町は明治期より昭和中期にかけて海産業などの商業の中心地として繁栄を極めた場所で、現在もその時代に建てられた建物が多く現存しています。
　既に紹介した建物や写真も何点かありますが、雪に映える美しい函館のレトロビルディングの写真をお楽しみください。

※冒頭の写真(関根要太郎・蔵田周忠設計による旧百十三銀行本店・現SEC電算ビル、大正１５年築)
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◆旧函館無尽本店(大正１２年築)

　八幡坂下のSEC電算ビルに隣接して建つかっての銀行本店。この函館無尽は北洋銀行の前身にあたる。
　大正１０年の函館大火以降、同地では鉄筋コンクリート製のオフィスビルディングが建てられたが、この建物もその中の一つ。当時建てられた函館のオフィスビルの中でも美しいデザインの建物だが、誰が設計を手掛けたのかは不詳。現在は民家として再生活用されている。

◆カリフォルニア・ベービー(大正６年ころ築)
　
　こちらはベイエリアの金森倉庫そばに建つ、旧特定郵便局の建物。
　破風の波打ったデザインなどは、大正期に日本で流行していたユーゲントシュティル(セセッション)というモダンデザインの影響が見られる。残念ながらこの建物の設計者も不詳。
　３０年ほど前からレストランとして使われ、函館の古建築再生の先駆けともいえる建物だ。

◆旧仁壽生命函館支店(大正１４年ころ築)
　
　大三坂下に建つ東京の生保会社の支店。
　大正期から昭和初期にかけて、この仁壽生命の店舗設計を建築家・関根要太郎が手掛けていた事もあり、この建物も関根が設計を手掛けた可能性が考えられる。また関根の弟である建築家・山中節治のこの時期の設計作品にもこの建物と似たものがあり、山中が設計に関与した可能性もある。現在は民家として使われ、大三坂の景観を彩っている。

◆函館市文学館(大正１０年築)
　
　かっての第一銀行函館支店。設計は建築家の西村好時と八木憲一。
　西村は大正中期から昭和初期にかけて第一銀行の店舗営繕を中心に活躍した建築家で、銀行建築のスペシャリストともいえる人物。また当ブログの主人公？である建築家・関根要太郎も本業は不動貯金銀行という庶民対象の貯蓄銀行の店舗営繕を手掛けており、関根と西村はライバル的存在だったようだ。また関根のモダン路線の作風に対し、西村はクラシカルないかにも銀行建築らしい作風を得意とした。
　この建物、戦後は信販会社・ジャックスの本社として使われていたが、函館市に寄贈され現在は文学館として再生活用されている。

◆イチヤマ商店(大正１１年築)

　関根要太郎・山中節治設計による事務所建築。函館の隠れた名建築ともいえる作品。

※撮影：２００３年１月、２００４年１月、２００６年１月

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♯また次回から数回に分けて、本題である建築家・関根要太郎の函館での活動を紹介していく予定です。