東京・増上寺の大門を歩く(不動貯金銀行を訪ねて)

◆東京・芝増上寺の大門を歩く

　　・・・・不動貯金銀行の旧店跡を訪ねる

　こちらの項では、東京芝・増上寺の大門付近をご案内したいと思います。
　この芝の大門、建築家・関根要太郎(1889～1959)が長らく店舗営繕に携わってきた不動貯金銀行(明治３３年創立)の本店が、明治４４年から昭和２０年まで置かれていた場所です。関根も昭和６年から昭和１７年までの約十年間、不動貯金銀行の営繕課長(のちに営繕部次長に昇進)として芝大門の不動銀行本店内で、設計活動をしていたとの事です。
　本編とは内容がずれますが本項では番外編として、芝大門周辺に残る不動貯金銀行関連の史跡を二点ほど紹介してみたいと思います。

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◆不動貯金銀行本店(昭和６年築、設計：佐藤功一)
　〔図版：不動貯金銀行創立四十周年記念写真帖、不動貯金銀行刊より〕

芝大門前にあった不動貯金銀行の本店。建築家・関根要太郎は、大正３年から昭和１７年までの二十数年間に渡り不動銀行の店舗を１００以上設計してきたが、この本店の設計は早稲田大学の大隈講堂、東京の日比谷公会堂の設計者として知られる建築家・佐藤功一の手に委ねられた。この本店内に営繕課も置かれ、関根もこの本社内で約１０年に渡り仕事をしていた。
またこの建物、戦後は昭和電工の社屋として使われていたが、今から二十数年前に新しいビルへと建て替えられている。

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◆芝大神宮の貯金塚

旧不動貯金銀行本店の裏手にある芝大神宮の門前にある碑。
これは昭和３２年に、不動銀行のOB会である〔不動会〕が建立したもの。碑は大正１２年の関東大震災の直後で混乱していた時期に、不動銀行は預金者に対し全額預金の払い戻しをしたという事を記念する目的で建てられた。また、一般庶民対象に経営を展開していた不動銀行は、昭和９年３月の函館大火をはじめ全国各地で起きる災害のあとには、同様の措置をたびたびおこなっていた。
なお『根気　根気　何事も根気』という文字は、かの武者小路実篤の筆によるもの。実篤と不動貯金銀行の頭取・牧野元次郎(1875～1943)は生前親しかったそうで、この碑の筆を記したようだ。また下の絵は、不動銀行の副頭取で画家の牧野司郎(1893～1972)の作。不動銀行のメインキャラクターであった大黒様が描かれている。


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◆芝増上寺の大門

地名や地下鉄の駅名として親しまれている芝増上寺の大門。
現在の大門は関東大震災で焼失してしまったものに代わり、昭和１２年に不動貯金銀行の寄付により鉄筋コンクリートで建てられたものだという。
個人的にはこの現在の大門、当時不動銀行の営繕課長だった関根要太郎が設計を手掛けたのではないか・・・・？、と思っている。但し、それを裏付ける資料がまったくなく、この大門の設計者については依然謎のままだ。

芝大門の裏手より。門の向こうに見えるのが、昭和電工のビル。ここに不動銀行の本店が置かれていた。

★不動会による銘板

もとは戦前に取り付けられていたが、戦中の金属供出のため撤去。戦後になり〔不動会〕により設置されたもの。大門の増上寺側に付いている。

増上寺より
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※撮影：２００７年１０月、２００９年5月追加撮影