京都 中京郵便局(建築家・三橋四郎設計作品探訪)

◆京都中京郵便局
　　　・・・・・・三条通りに残る明治35年竣工の赤煉瓦の郵便局舎


　建築家・関根要太郎の師である、三橋四郎(１８６７～１９１５)の逓信省在籍時の設計作品。
　三橋は明治３０年代に逓信省に在籍し、国内や中国、朝鮮などに約二十数軒の郵便局および電信局などの逓信関連の庁舎の設計を手掛けたが、一世紀ちかい時が流れた現在、下関とこの中京郵便局が残るのみである。また京都の三条通りは、明治から昭和初期にかけて建てられた洋風建築が数多く現存し大切に使われているが、この中京郵便局は〔京都ダマシンカンパニー〕という明治２０年代に建てられた煉瓦造りの商店に次いで古い洋風建築である。

　しかし、この中京郵便局現在まで無事に一世紀の時間を経たわけではない。昭和４０年代後半に同地に郵便局の新庁舎建設が発表され解体される事になっていたが、保存の声が多く寄せられた事により、外壁だけを残し内部を新築する〔ファザード保存〕が決定。煉瓦の外壁を裏からコンクリートで補強する工法を用い、昭和５３(１９７８)年に現在の建物が竣工した。
　最近、高層ビルの外壁に以前の建物のファザードが張りぼてのように残されている建物をよく目にするが、このような保存の先駆けといえる事例なのである。但し、この中京郵便局は外部から見る限りは、まったく違和感がなく、三条通りの町並みに溶け込んでいる。

　また中京郵便局のデザインはルネッサンス調。この建物のすぐそばにある京都文化博物館別館(旧日本銀行京都支店、設計：辰野金吾、明治３９年築)と同じ赤煉瓦の建物で混同してしまうが、細部のデザインを観察してみると色々な違いがあるので、是非見比べて欲しい。
　◆中京郵便局(旧京都郵便電信局)
　　◎設計：吉井茂則、三橋四郎(逓信省技師)
　　◎施工：安藤組
　　◎竣工：明治35(1902)年8月
　　◎構造：煉瓦造り２階建て
　　◎所在地：京都市中京区三条通東洞院北東角
　　　❖国指定重要文化財
２階窓上には櫛形ぺディメント、１階窓の持ち送りは渦巻き型になっているなど、基本通りに？西欧の様式を取り入れている。三橋先生、さすがである・・・・。
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★撮影・・・・2005年8月、2010年1月、2011年1月