![]() by ヨウタロウ研究員 カテゴリ
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![]() ・・・・明治40年ころ築、洋風の付属棟が付けられた重厚な和風商家 3年前(令和2年:2020年)秋の函館旅行時は、大町のホテルに宿泊したこともあり、滞在最終日の早朝は大町をはじめ弥生町や船見町、弁天町界隈を歩いた。 以前は長年お世話にっているS氏に勧められ、頻繁に歩いていたこの界隈。ここ10年ほどは日中に殆ど訪れなかった事もあり、この時も足早ながら主要な建物の他、ここ数年訪れていない建物を巡ることにした。 特に大町と弁天町は、大正10(1921)年と昭和9(1934)年の大火の焼失地域でない事もあり、国の重要文化財に指定されている太刀川家住宅店舗(明治34年築)の他、相馬株式会社事務所(大正5年築)、日魯漁業の前身会社である堤商会(大正5年築)、橋谷家住宅(大正10年築)など、築100年を経過した優れた歴史的建造物が多く現存するエリアである。しかし時代の経過とともに、無名の建物の幾つかは姿を消しているのが現状だが、それでも何軒かの建物はリノベーションがおこなわれ、町に新たな活気を与えているようである。 そしてこの界隈でとても印象に残ったのが、弁天町の西部臨港通りに建つ、冒頭の写真でご覧いただいたこの和風商家である。近年は今井米穀店として使われていていたもので、正面が店舗、背後の2階建て部分が住宅という割り振りがされていたようである。明治40(1907)年7月の大火でこの界隈がほぼ全焼しているので、その直後に建てられたと考えられている。 隣に建つ旧堤商会の外壁に塗られた、華やかなスカイブルーのペインティング対比が印象的な旧今井米穀店。この界隈では珍しい純和風の出桁造り(だしげたづくり)のスタイルである。 出桁造りは軒の出を支える出梁と出桁を強調したもので、東京下町を中心にこのような作りの和風商家が多く建てられいる。なお筆者の暮す関東地方には出桁造りの商家や家屋が、かなりの数現存している。 但し今井米穀店のほうは、関東の和風商家ほど出桁の木材は太くなく、細めの木材が使われている。積雪対策とも考えられるがその辺りははっきりしない。また屋根は積雪のある北国に相反して、黒瓦が葺かれているのも特徴だ。機能性で優れた鉄板葺きの屋根ではなく、メンテナスに手間がかかる瓦葺きにしたのは施主の拘りなのだろう。そして屋根の棟には煉瓦が使われ、ぐっとこの建物の印象をを引き締めているような見える。 この他に旧今井米穀店では、建物奥側(市電通り側)にある2階建ての住居部分にも注目していただきたい。正面の店舗部分と同様の色彩トーンであまり目立たないが、縦長の観音開き型の洋風窓が設けられている。 実は和風商家の背後が洋風意匠という構成の建物は、大町の臨港通り沿いに建つ旧森卯兵衛商店(現元町ホテル別邸・開港庵、明治42年築)でも用いられていることから、函館にこの時代に建てられた和風建築に、しばし用いられていたと想像される。 弁天町に建つ旧今井米穀店は、この隣に建つ旧堤商会の脇役のようになってしまっているが、その存在感はなかなかのものである。海産業で繁栄を極めていた往時の函館の様子が想像できる、小振りながら重厚な和風建築。今後も大切に使われ続けてほしい函館の美しい建築作品の一つである。 ◎設計:不詳 ◎施工:不詳 ◎竣工:明治40(1907)年ころ ◎構造:木造2階建て ◎所在地:函館市弁天町15-10 ❖函館市景観形成指定建造物 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 朝の弁天町。電車通りを渡ると、姿見坂の上りが始まる。 ![]() ![]() ![]() ★参考資料 「函館市ホームページ」 ★撮影・・・・2009年3月、2016年3月・10月、2018年9月、2020年10月
by sy-f_ha-ys
| 2023-03-18 08:18
| ☆函館の建物案内
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Comments(4)
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
> オガタのSさま、
風花日和という大町のカフェ、ネットで拝見しました。 リノベーション前は、本当に函館最古の洋館?、という疑問を抱いていましたが、建物内から鋳鉄の洋風の柱が出てくるなど、本当に古い建物だっという事を実感いたしました。 今井米穀店、ちょっとだけカフェバーとして営業していましたが、私がS師匠に連れられ訪れた時は、閉店していました。何か新しいお店が出来るとは楽しみですね。函館のどぶ川、昔の古写真を見ると函館海産商同業組合や尾形商店をはじめ、結構な数発見できます。海沿いの地域という事もあり、排水は重要ですよね。
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> pachinkoquoraさん
写真の撮り方のせいもあるかも知れませんが、渋い和風住宅です。
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