函館の路面電車と函館のレトロ建築群(函館坂のある町の風景)

◆函館の路面電車とその周辺の歴史的建造物群

　・・・・函館の路面電車と美しいレトロ建築の数々を見る

　函館は砂洲と陸繋島の美しい形状をし夜景が美しい街、美しい坂が多くある街、そして明治から昭和初期にかけて建てられた美しい歴史的建造物が残る街として知れています。そしてもう一つ忘れてはいけないのが、路面電車が走る街という事です。この路面電車は函館どつく前電停・谷地頭電停～湯の川電停間の市内10・9キロを、約45分間かけて走るもので、函館市企業部交通部が運営することから、市民の間では〔市電〕の愛称で知られています。

　函館市電の歴史は始まりは明治30(1897)年のことで、〔亀函馬車鉄道〕が弁天町～東雲町間に馬車鉄道の運行を開始。のちに馬車鉄道のネットワークは、市内広域に広がっていきます。

　そして明治44(1911)年には、この数年前に設立された〔函館水電株式会社〕が馬車鉄道を買収。大正2(1913)年から順次路線を電化させていき、路線も延長させていきました。函館水電による電車設置は、北海道内で初の路面電車になったそうです。

　また函館水電の経営による路面電車の経営は順調に発展を続けますが、昭和8(1933)年から昭和9(1934)年にかけて、函館水電と市民の間では函館水電争議という日本国内が注目する大事件が起こります。これは大正14(1925)年に、函館水電が函館市と将来的には市へ電気事業を売却するという覚え書きを交わし、買収交渉に入るのですが、その交渉は纏まらず、結果市電会社に対し函館市民は電気料金の支払い拒否などの強硬手段に入ります。

その結果、昭和9(1934)年3月4日に札幌逓信局において休戦協定を交わしますが、この年の3月21日には市内の３分の2を焼き多くの犠牲者を出す大火が発生。そのような事もあって函館市の電気事業買収の夢は潰えます。

　しかしながら昭和18(1943)年には軍事色が強くなり、陸運統制令によって函館水電(～帝国電力～大日本電力)に続き電車・バスの事業を継承していた道南電気軌道が、それらの事業を函館市へ譲渡。それ以降、路面電車は函館市により運営がおこなわれる事になりました。

　戦後は通勤・通学の足として大いに賑わっていた函館市電でしたが、モータリゼーションの台頭により徐々に利用客は減少。平成初期(1990年代前半)には幾つかの路線が廃止になっています。しかし現在も高齢者や学生、観光客(修学旅行生)の足としてとても重宝されているようです。また近年では大都市圏の鉄道会社が発行しているPasmo、Suica、IcocaなどICカードも利用できるようになり、さらに便利さを増しています。

　皆さんもご存じのように函館西部地区は、明治から昭和初期に建てられ歴史的建造物が多く建つこともあり、その建造物の前を新旧もろもろの路面電車が走ることもあり、格好のシャッターポイントであります。

　私は函館を訪れると、いつも早朝に末広町・豊川町・元町・大町・弁天町などを散歩するのですが、轟音と共に走る始発電車の姿がとても大好きです。以前利用していたホテルは電車通り沿いにあったので、始発電車のけたたましい音が目覚まし代わりだった事を思い出しました。

　　

　今回は約20数年前の20世紀末、当時20代の若造だった頃から、令和2(2020)年までに筆者が撮影した写真と、大正末から昭和初期に発行された筆者所有の古絵葉書を紹介したいと思います。建物をメインに撮影しているので、市電が脇役のように写っているのはご容赦頂ければ幸いです。既に取り壊された建物も何軒かありますが、ここからは函館の美しい建物と路面電車が走る街の風景をお楽しみください。

◆二十間坂から見た北斗ビルと函館海産商同業組合事務所(設計：関根要太郎+山中節治、大正9年築)

◆旧百十三銀行本店(設計：関根要太郎+蔵田周忠、大正15年築)

◆旧目貫商店、北斗ビル(設計：中村鎮、大正10年築)

◆旧金森洋物店(設計：池田直二、明治13年築)

◆旧第一銀行函館支店(設計：西村好時+八木憲一、大正10年築)

◆ヱビス商会(大正10年ころ築)

◆橋谷家住宅(大正10年ころ築)

★弁天町の古民家群

◆旧梅津商店(昭和10年築)

◆旧棒二森屋(設計：明石信道、昭和12年築)

★旧ボー二アネックス(設計：明石信道、昭和57年築)

★相馬株式会社社屋(設計：筒井長左衛門、大正5年築)

★旧金森回生堂～高田印刷(設計：木田保造、大正14年築：現存せず)

★旧仁寿生命函館支店：写真中央、旧リューリ商会：写真右(大正10年～大正14年ころ築)

★旧函館貯蓄銀行本店(設計：木田保造、大正15年築)

★伊藤商事株式会社(昭和10年ころ築)

★及能株式会社(昭和11年築)

◆旧十二銀行函館支店(設計：木子幸三郎、大正15年築：現存せず)

大町の函館元町ホテルの部屋から撮影。

東浜桟橋から日和坂を望む。左手に見えるのは今は亡き旧金森ビル(大正14年築、昭和5年増築：現存せず)。平成11(1999)年4月撮影。

同じく金森ビル。平成13(2001)年3月撮影。

ホテル・ニュー・ハコダテ時代の旧安田銀行函館支店の一室からの写真。平成14(2002)年4月撮影。

ここからは筆者所有の絵葉書コレクションより。

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★撮影・・・・1999年4月、2001年3月、2002年4月、2009年3月・6月・10月、2010年4月、2016年3月、2018年9月、2020年10月