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◆このブログの写真は当サイト製作者の撮影によるものですが、それだけでは全てを紹介しきれないため、大正から昭和初期に発行された当時の書籍・建築関連の雑誌・新聞等の記事・図版を一部転載しております。またそれらの出典元になる書籍と発行日時、一部のものは所蔵元を明記させていただきました。著作権をお持ちの方には、個人的な学術研究・非営利な発表ということで、ご理解いただければ幸いと存じております。 なお、一部イラスト・写真等は、製作者・遺族の方より承諾を得て、紹介させて頂いております。 ◆当ブログ製作者は、建築業や建築学に携わっていない、素人研究家です。建築用語や構造説明に誤りがある可能性もございます。そのつど御指摘していただければ幸いです。 ◆本ブログ掲載の写真および図版、記事内容の無断転用はご遠慮ください。但し私が撮影した写真に関しては、建築保存活動や学術発表など非営利目的での使用でしたら転載は構いません(大した写真では御座いませんが・・・・)。もし使用したい写真がございましたら、その記事のコメント欄に、目的・公開先等などをご一報ください。なおその際は、当ブログの出展である事を明記お願いいたします。 ◆また本ブログの記事内容と関連のないコメント、トラックバックは削除させていただく場合もございますので、予めご了承ください。 **************** ★excite以外のリンク --------------------- ❖分離派建築博物館 ❖収蔵庫・壱號館 ❖新・我愛西安、観光と生活情報 ❖建築ノスタルジア ❖トロンボーン吹きてっちゃんの独り言 ~函館応援プログ~ ❖虚数の森 Forest of im aginary number ❖MEGU 「めぐ」を究めよう ❖中央区立明石小学校の保存活動 タグ
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![]() ・・・・・大正10年築、かつてのシルクシティに建つ和洋折衷の迎賓館 記録的な猛暑が再び戻った8月下旬の週末、久しぶりに埼玉県の入間市を訪ねた。入間は東京池袋から西武鉄道の急行に乗って約40分の場所にある、埼玉県南部にある郊外の住宅都市。この他には自衛隊の航空基地と、狭山茶の名産地として知られる。 ちなみに筆者がこの日下車した西武池袋線・入間市駅の電車の発車メロディーは、茶所らしく「♪夏も近づく八十八夜」の歌詞でお馴染みの、童謡〔茶摘み〕であった。 この日は遠く茶畑が広がる市の中心部の南口ではなく、旧市街地が広がる北口で下車し、ここから入間川・霞川の河岸段丘にあたる急坂を下る。木々の間から時おり見える、夏空に輝く秩父山系を望みながら坂を下ること徒歩数分、本日の目的である建築作品が見えてきた。 それが旧石川組製糸西洋館。大正10(1921)年ころに、入間を本拠地とする製糸会社・石川組製糸の迎賓館的な施設として建てられたものだ。長らく石川組製糸を経営していた石川家が所有していたが、平成15(2003)年に入間市に寄贈され現在に至っている。なお近年では様々なロケで使用され、通の間では隠れた名所になっているようだ。 今の入間市からは少し想像がつかないが、明治から昭和初期にかけて製茶業を凌ぐ繁栄を極めていたのが、生糸の製造であった。茶の町・入間(黒須、豊岡)を生糸の町へと変えたのが、冒頭の写真でご覧いただいた洋館の施主・石川組製糸である。 石川組製糸は明治26(1893)年に、地元・入間(黒須)出身で当時茶の仲買を営んでいた石川幾太郎(1855~1934)が創業。その翌年に蒸気を利用した機械製糸に製造方式を変更させ、大量生産を可能にしたことで右肩上がりに業績を伸ばすことになる。そして大正中期には全国6位の生産量を誇る、国内屈指の製糸会社へ成長を遂げていくのであった。 そして石川組製糸を語る上で大きな特徴と言えば、同社を経営する石川家の家族の多くが、キリスト教の信者であったことから、キリスト教の影響を受けた経営や社員教育をおこなっていた点だろう。特に工場の重要な働き手であった女工たちには、充実した食事の提供に工場内の保養施設の充実、更に日曜学校の実施など、慈愛に満ちた雇用形態をとっていたそうである。 ちなみに旧石川組製糸西洋館の目と鼻の先の場所に建つ、日本基督教団豊岡教会(設計:W・M・ヴォーリズ、大正12年築)は、石川家の寄付により建設されたものである。そしてその信者の大多数は、石川組製糸の女工たちだったという。 そのような全盛を極めていた石川組製糸が建てたのが、今回取り上げている西洋館だった。海外から工場を視察に来る、バイヤーたちを接待する目的で建てられたという。設計は入間の隣町にあたる現在の狭山市堀兼出身で、東京帝国大学卒業の建築家・室岡惣七(1885~1951)が担当した。 施主の石川組の意向があったのか、設計者である室岡の好みが出たのか詳細は謎だが、館内は洋風をベースとしながらそこに和風を取り混ぜた、独特な和洋折衷の世界が広がった。施工は川越の名棟梁・関根平蔵が担当したが、それらの世界をとても上手に作り上げている。 ここからは筆者の推測になるが設計者の室岡惣七は、海外からやって来る外国人バイヤーたちのライフスタイルを崩さない洋風のスタイルを押えつつ、和風建築の美を堪能して貰うために、このような和洋折衷の迎賓館を設計したのではないかと考えるのである。ちなみにこの日同行した筆者の妻は館内を見学し、以前泊まった箱根の富士屋ホテルを思い出したと感想を述べていたが、両者とも和洋折衷の施設を作った目的は、似通った理由からではないかと思えてきたのである。 かなり濃い味の洋館を設計した室岡であったが、それから十数年後県内の川島町に遠山元一邸(昭和11年)という、とても美しい珠玉の和風邸宅も制作している。海外から来訪するバイヤーのために、立派な迎賓館を建てた石川組製糸だったが、その栄光は長くは続かなかった。大正12(1923)年の関東大震災で、横浜の倉庫に保管してあった、海外へ出荷する予定の大量の生糸が焼失し多大な損害を被ったほか、会社の経営を取り仕切っていた石川幾太郎の弟・龍蔵が急死し、経営が悪化する。 その後化学繊維の台頭や昭和の大恐慌が重なり、会社の立て直しはきかなくなり、遂に昭和12(1937)年には会社が倒産してしまった。 それから80年以上が経ち、かつてのシルクシティを物語る数少ない遺構が、この西洋館になる訳だが、寡黙のように見えて非常に多くのことを物語ってくれる建築作品だった。生糸の製造で賑わっていた昔日のこの界隈を想像しつつ、入間の町を後にした筆者であった・・・・。 ◆旧石川組製糸西洋館 ◎設計:室岡惣七◎施工:関根平蔵 ◎竣工:大正10(1921)年ころ ◎構造:木造外壁化粧タイル張り2階建て ◎所在地:埼玉県入間市河原町13-13 ❖国登録有形文化財 ![]() ![]() ![]() なおこの邸宅の施工を手掛けた川越の棟梁・関根平蔵は、埼玉県川越市の自邸をこの洋館で余った部材で建て、大正末に旧石川組製糸西洋館の小型版とも言いたくなる邸宅を竣工させている。詳しくは別ブログのこちらの記事をご参照いただきたい。 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ******************************************************** ★参考文献・資料 「いるま歴史ガイド、旧石川組製糸西洋館と周辺の文化財」入間市立博物館・入間市ホームページ 「旧石川組製糸西洋館リーフレット」入間市教育委員会 「旧石川組製糸西洋館の世界」入間市ホームページ 「日本のステンドグラス、明治・大正・昭和の名品」田辺千代氏著。白揚社、平成25年 ★撮影・・・・・2018年8月
by sy-f_ha-ys
| 2018-09-01 09:01
| ◆大正モダン建築探訪
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Comments(6)
![]() ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
鍵コメントiさま、はじめまして。
いろいろとご丁重な説明ありがとうございます。行き過ぎた趣味をこうして評価しててただけるとは、とても嬉しい限りです。 依頼の件、前向きに検討させていただきます。後日、改めて連絡いたします。それでは失礼いたします。
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> オガタのSさん
関東地方も梅雨入り、高温と多湿という苦しみの季節が参りました。 そういえば函館発の午前便、羽田発函館行きの戻りの便ですから、それなりのお時間ですね。ジョルダンで調べたら結構な時間になってしまいますね。秩父神社でお参りして、秩父館と秩父まつり会館に寄って日没というのも悲しいです。時間に余裕があるときに秩父は是非お立ち寄りください。 そういえば以前川越に行かれたそうですが、大正時代に建てられた旧八十五銀行本店(埼玉りそな銀行川越支店)が〔りそなコエドテラス〕なる施設に昨年リニューアルされて、大人気です。そちらなどいかがでしょうか?。 ![]() ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
> オガタのSさん
お店で函館○○、秩父○○などの表記を見ると、私もその品を手に取って必ず見てしまいます。自由学園もお勧めですが、公開スケジュールがオガタさんの訪問日と合うか不安ですし、明日館とセットで見ていただきたい講堂が長期の修繕工事に入っております。 逆に池袋なら立教大学のレンガ校舎も素敵ですよ。ちなみにレンガ校舎の一部が食堂となっており、コロナ前は一般の人間も利用可能だったのですが、今はOKなのか分かりません。京都同志社大学のレンガ校舎群も良いですが、こちらもお勧めです。 それと入間市の石川組洋館、月に1~2回土曜・日曜のみの公開なんですよ。という事で今回は川越の他に立教&公開スケジュールが合えば自由学園をお勧めします!
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