函館銀座通りレトロ建築コレクション・2011(その2)

◆銀座通りレトロ建築コレクション・2
　　・・・・・・・・東京以北最大のカフェー街の面影を求めて


　先のその1に続き、こちらでは末広町7番地と豊川町1番地に残る銀座通りのレトロ建築を紹介していきたいと思います。次に掲載した当時の絵葉書をご覧になるとお分かりのように、この一帯は函館市が目指した防火帯としてのコンクリート建築が当初の目的通り完成した地域でもありました。
　また絵葉書右手に写る3階建ての建物は、以から30年ほど前まで江口眼科医院の病棟として使われていたそうなので、この建物を記憶されているという地元の方も多くいらっしゃるのではないかと思います。後年の再開発のため豊川町側の大正末から昭和初期竣工の建物はすべて無くなってしまっていますが、末広町側にはとても魅力的な建物が数軒残っています。こちらではその建造物群の写真をご覧ください。

★銀座通りを写した当時の観光絵葉書

筆者が先日購入した絵葉書より。右手に写るのが戦後江口眼科として使われいた先代の建物。
また写真いちばん左手に写るアールの付いた3階建てのビルは、建築家・中村鎮(1890～1933)設計の旧丸北ビル。中村は大正10年の大火後に自らが開発した鉄筋コンクリートブロック工法を用い、函館に数多くの耐火建築を普及させた功労者とも言える人物。現在函館における中村の設計作品は、二十間坂下の旧目貫商店などほんの僅かの建造物しか残っていない。

★旧カフェー三の糸

無装飾で武骨な建物だが、先の絵葉書を見てみると竣工時の姿がほぼ保たれていることが分かる。間口の狭い小規模なビルが多いのも銀座通りのレトロビル群の特徴だ。
★旧カフェースター、前天満つ蕎麦店

こちらも先に紹介した建物と同様、海産景気が全盛だった頃はカフェーとして使われていた。また近年まで天満つ蕎麦店の店舗として使われていたが、新店舗がお隣に落成し現在は空き家となっている。また建物上部に付いた果物や野菜の浮き彫りも見事。一時期、八百屋や青果店として使われていたのだろうか・・・・・？。
天満つ蕎麦店の新店舗も銀座通りのレトロ建築を意識したお洒落な外観。蕎麦屋という事もあり、建物上には海老の天ぷらの浮彫りが施されているのが微笑ましい。★宝来パン本店

独特な三角破風のデザインが印象的な3階建てのビル。
なお店舗内には、80年代前半に活躍した懐かしのアイドルのポスターがいまだに貼ってある。
★旧マルダイストアーと一般民家

写真右手にショッキングピンクの塗装が施された建物は、数年前までマルダイストアーという青果店として使われていた。以前はとても美しい浮き彫りが施されていたが、外壁の剥離が激しいため現在の姿へと改修されている。
また写真左手の建物も一見すると地味な感じであるが、浮き彫りの装飾が見事。バス通り側が少しいびつな形になっているのは、昭和9年大火後道路の拡張工事がおこなわれた為だと考えられる。********************************************************
★撮影・・・・・2011年6月