北海道北斗市・旧上磯の洋風民家(函館擬洋風民家コレクション、その33)

◆北斗市旧上磯地区の洋風木造民家　

　・・・・・本家函館とは一味違う擬洋風民家群

　函館滞在の最終日にお会いしたのが、ブログEver Greenの管理人であるアイルトンさん。
　写真とドライブ好きのアイルトンさん、「せっかくだから普段訪れないような場所に行きましょう」という事で案内されたのが、函館のお隣に位置する北斗市の旧上磯地区。殆ど見たことがない函館湾越しの函館山を横目に見ながら、国道228号線を東へ走ること約20分あまり、降り立ったのが旧上磯の中央という場所だった。

　JR江差線の清川口の駅から程近い中央という地区、今では完全に静まり返った町になっているが、長年上磯の中心部として栄えた町だったという。そのような中央地区には、この町の往時の繁栄を偲ばせるような歴史的建造物が幾つか残っていた。その一つ目が岡田商店と言うなかなか年季が入った、老舗の酒屋さんである。
　外観は洋風木造の下見板張り。一階は店舗部分と住宅部分に分かれているが、住宅の玄関やその周辺のデザインは完全な和風の作り。また店舗部分はサッシが取り付けられているが、格子戸などが取り付けられていたのではないかと思わせる作りだ。

　これだけを見ると、函館の町中に多く現存する擬洋風民家と共通した作風にも思える。しかし、これぞとばかりに2階部分に窓を多く設ける函館の擬洋風民家とは違い、こちらは必要最低限と言った感じの窓の配置。また軒が函館の擬洋風民家より広めに取られていたり、それを支える持ち送りのデザインが函館のものとは若干違ったものになっている。
　これは個人的な推測だが、この酒屋さんの建物、函館の棟梁ではなく上磯やそれ以外の棟梁が建てたものではないかと思う。ちょっと上手く説明できないが、その外観は似ていながら微妙なニュアンスの違いは、そのような事から現れているのではないかと考える筆者である。

　そしてもう一軒見つけたのが、岡田商店より西に100メートルくらいの場所にある一般住宅。こちらは出窓スタイルで、青柳町や谷地頭あたりに建っていても違和感がない、典型的な函館式の木造下見板の民家である。また函館で出窓スタイルの木造民家が、昭和はじめ辺りから多く建てられた事を考えると、こちらもそれと同時期に竣工したものではないかと思う。

　またこの他にも、上磯には何軒かの擬洋風屋和風の古民家があるようだが、この写真の撮影後に思わぬサプライズな出来事があったため、撮影をひとまず終了。そちらのサプライズな出来事は次回紹介予定だが、函館の建築文化の境界線は一体どこにあるのかという新たな疑問を持った筆者である。また新しい謎解きのテーマが生まれてしまった今回の上磯訪問であった・・・・。

◆岡田商店
　◎設計：不詳
　◎施工：不詳
　◎竣工：大正中期から昭和初期ころ(推定)
　◎構造：木造2階建て
　◎所在地：北斗市中央3-3
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こちらは北斗市中央3丁目にあった木造民家。
出窓スタイルの作りなど、昭和初期に函館で建てられた民家と酷似している。
作風から見ると函館の棟梁が建てた可能性が高い。
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★撮影・・・・・2011年6月