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![]() ・・・・・音羽の鳩山御殿は当時最先端の鉄筋コンクリート製住宅 先日、久しぶりに音羽の鳩山会館を訪ねた。鳩山会館といえば首相も務めた政治家・鳩山一郎の邸宅として、大正13(1924)年に建てられたもの。また10年ほど前から一般に公開され、東京でもよく知られた戦前築の洋館のひとつだ。 この鳩山会館を久しぶりに訪れたのには、ちょっとした訳があった。 実は先月に東京三鷹の山本有三記念館(旧清田龍之介邸、大正15年築)を訪ねたさい、同記念館の案内スタッフの方より三鷹の山本記念館と鳩山会館のデザインの共通項が多く見られることから、同一の設計者の可能性もあるとの説明を受け、ならばこの目で確かめてみようと思い、音羽の鳩山会館まで足を運んでみたのである。 ちなみに鳩山会館の設計は、東京・丸の内の明治生命館や銀座の歌舞伎座の設計など知られる、建築家・岡田信一郎(1883~1932)によるもの。岡田は鳩山一郎と友人関係だったこともあり、関東大震災後の新居の設計を岡田に依頼したのだという。 鳩山会館と山本有三記念館、言われてみれば確かに似ているような気もするが、竣工年が近いこともありそのような共通項が自然と出てきたのではないかと思ったのが、今回の感想だ。 なお音羽の鳩山会館は外観・内装とも、イギリス風のデザインで纏められており、明治末から日本でも流行していたアールヌーヴォーやセセッション、表現派、フランク・ロイド・ライト風など、その当時のモダンスタイルとは無縁の世界が広がる。 デザインだけでは大正モダン邸宅というカテゴリーには当てはまらないかも知れないが、この鳩山邸について興味深いことがある。それは鉄筋コンクリートで造られた、当時としては最先端の住宅ということ。施主である鳩山一郎、設計者の岡田信一郎とも関東大震災直後ということもあり、耐震性・耐火性に優れた鉄筋コンクリートを新居の素材に決めたのだろう。 また関東震災後東京では鉄筋コンクリート住宅が幾つか建設されたようだが、莫大な建設費や家屋税(固定資産税)などの問題により、それらは殆ど普及しなかったのが現状だったようだ。 あとこの鳩山邸で、もうひとつの見どころが邸内各所に取り付けられた色とりどりのステンドグラス。こちらは戦前を代表するステンドグラス作家・小川三知(1867~1928)作とのこと。小川の作品がこれだけ纏めて見学できるというのも、とても珍しいパターンだという。 いろいろと見所の多い鳩山会館だが、当時実験的に建設されていた鉄筋コンクリート製邸宅という点でも、大正末の住宅文化のモダンさを伺えるのではないかと思う。建築文化の転換期の作品と言ったところだろうか・・・・・。 ![]() ◎設計:岡田信一郎 ◎施工:不詳 ◎竣工:大正13(1924)年 ◎構造:鉄筋コンクリート造り2階建て、地下1階 ◎所在地:東京文京区音羽1-7-1 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ★参考資料・・・・・・「図面でみる 都市建築の大正」 鈴木博之氏・初田亨氏編、1992年、柏書房 「日本の洋館 大正編Ⅱ」 藤森照信氏著、2003年、講談社 ★撮影・・・・・2009年7月
by sy-f_ha-ys
| 2009-08-07 00:07
| ◆大正モダン建築探訪
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Comments(8)
これがかの鳩山御殿 !
優雅な建物の中のステンドグラスは黒沢ビルのと同じ作家さんなのですね。 でも作風は全く違いますね。 ステンドグラスのデザインが塔っていうのも面白いですね。 そして名前の鳩のモチーフがあちらこちらに使われているっていうのも洒落ていますね。
0
gy1117さま、これが音羽の鳩山御殿です。
屋敷まで二つ折れの急坂を上っていかなければ着かないという、絵にかいたような豪邸であります。 私もステンドグラスに関しては詳しくはないのですが、この小川三知さんという方、若いころアメリカで修業されてきたそうで、繊細な図柄を得意としていたといいます。 でも和風の塔をモチーフに使っているのを見ていると、創作の根底には和の心があったのではないかと思ってしまいます。 あと鳩さんたち、全ては紹介しきれませんでしたが、邸宅の至る所にまだまだたくさんおられるのですよ(笑)。
黒沢ビルのステンドグラスや空中庭園を覗いたあと、湯島天神の道をひたすらいって筑波付属校の坂を下ると音羽でした。
車が止められるとのことで、急坂を二つ折れで登って行きました。すごい敷地の広さですね・・。植物の繊細なステンドグラスは見事で見入ってしまい、肝心の家を見ることがおろそかになりました。 帰りに千葉稲毛にある同じく大正6年に建てられた鉄筋コンクリート製の神谷邸(神谷シャトーの創設者の別荘)を覗いてきました。鳩山会館の後では規模が小さく少々がっかりでしたが、松の木が広がる中、テラスと白の大理石の解放的なアプローチが夏の海水浴用の別荘にぴったりでした。
gonさま、その日は東京の坂を堪能されたようですね。
本郷・小石川・小日向・音羽あたりは複雑な地形で、私はまだ未開拓のところが多いです。 それと鳩山邸は、建物は勿論ですが私も敷地の広さに圧倒されました。 あと千葉の旧神谷別邸ですが、残念ながらまだ訪ねたことがありませんが、京成線に乗ってこちらの最寄駅を見たことはあります。 駅から見える町の雰囲気は、かってこの場所が海岸線の別荘地だったことが想像できる佇まいだったのを記憶しております。今では海は少し遠くなってしまいましたが・・・・。 機会があれば千葉の邸宅へも行ってみたいなと思っております。
直接関係のない話で大変恐縮ですが、息子の鳩山由紀夫氏の住民票上の自宅は、室蘭の文教地区の住宅街の一角にあり、親の家とは比べようがないくらい敷地・建物ともに小さく質素ですが、それでも、近隣の家と比較するとやはり別物という存在感があります。
建物の研究という視点では、特筆すべきものはありませんが、次期総理になるかもしれない方の家ですので、今度函館に来られたら、先月撮影した写真をさしあげますので、土産話にでもお使いください。準備しておますね。(笑)
jhmさま、鳩山由紀夫さんって東京やその近郊の選挙区というイメージが強いんですが、住民票では室蘭の方だったんですよね(笑)。確かにどんな家か気になります。
もしかしたら来月あたりには、室蘭のお宅に警官の詰所とかが出来ているかも知れませんね(笑) ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
鍵コメントさま、千葉には日本勧業銀行の本店だった建物も移築されているんですよね。千葉に行く際にはそちらも訪問してみようと思います。
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