by ヨウタロウ研究員 カテゴリ
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当研究室ご来訪の皆様へ
◆当ブログのタイトル『関根要太郎研究室@はこだて』は、大正から昭和初期に函館をはじめ日本国内で活躍した建築家の故・関根要太郎氏を紹介したく付けさせていただきました。また、関根氏の作品の他にも、同氏の設計作品が多く残る函館の歴史的建造物や、同時代のモダン建築なども紹介しております。
◆このブログの写真は当サイト製作者の撮影によるものですが、それだけでは全てを紹介しきれないため、大正から昭和初期に発行された当時の書籍・建築関連の雑誌・新聞等の記事・図版を一部転載しております。またそれらの出典元になる書籍と発行日時、一部のものは所蔵元を明記させていただきました。著作権をお持ちの方には、個人的な学術研究・非営利な発表ということで、ご理解いただければ幸いと存じております。 なお、一部イラスト・写真等は、製作者・遺族の方より承諾を得て、紹介させて頂いております。 ◆当ブログ製作者は、建築業や建築学に携わっていない、素人研究家です。建築用語や構造説明に誤りがある可能性もございます。そのつど御指摘していただければ幸いです。 ◆本ブログ掲載の写真および図版、記事内容の無断転用はご遠慮ください。但し私が撮影した写真に関しては、建築保存活動や学術発表など非営利目的での使用でしたら転載は構いません(大した写真では御座いませんが・・・・)。もし使用したい写真がございましたら、その記事のコメント欄に、目的・公開先等などをご一報ください。なおその際は、当ブログの出展である事を明記お願いいたします。 ◆また本ブログの記事内容と関連のないコメント、トラックバックは削除させていただく場合もございますので、予めご了承ください。 **************** ★excite以外のリンク --------------------- ❖分離派建築博物館 ❖収蔵庫・壱號館 ❖新・我愛西安、観光と生活情報 ❖建築ノスタルジア ❖トロンボーン吹きてっちゃんの独り言 ~函館応援プログ~ ❖虚数の森 Forest of im aginary number ❖MEGU 「めぐ」を究めよう ❖建築日誌 ❖中央区立明石小学校の保存活動 タグ
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『日本初の鉄筋コンクリート製の寺院』、東本願寺函館別院。坂の町・函館ではこの寺の大屋根はよく目立つ。 この鉄筋コンクリート製の寺院が作られる切っ掛けになったのは、明治40(1907)年8月に起きた函館大火による。この大火で函館市内の大半は焼失し、かの石川啄木も『函館の復興は不可能』と判断し、数ヶ月暮らした函館を去るほどの被害だったという。 函館の町は両岸を海に挟まれ、海峡から吹き付ける風が強く、ひとたび火災が起きるとまたたくまに大火事になる危険性を持つ場所である。また明治10年代にはたびたび起きる大火を見越し、開拓使が防火対策を目的とした煉瓦建築を奨励し、数多くの煉瓦製の建物が函館の街を彩った。しかし、明治40年の大火では煉瓦製による建物の多くも、火災により倒壊してしまっている。そして、この大火以降に函館の商人や民間により建設された建物というのは、旧函館区公会堂(明治43年)や基坂下の相馬株式会社(大正4年築)などに代表されるような木造建築がメインとなった。恐らく開拓使が奨励した煉瓦建築が火災に無力だった事への不信感が、木造建築が多く作られるようになった要因ではないかと思う。 しかし、そのような流れの中で、一人防火建築の重要性を考える函館の商人がいた。当時、金森(渡辺合名会社)の代表をつとめていた三代目・渡辺熊四郎である。この三代目・渡辺は函館東本願寺の檀家代表もつとめており、度重なる火災のたび本堂が焼失してしまう事に頭を抱えていた。そして、渡辺は東京の専門家(明治建築界の大家・辰野金吾といわれている)に意見を聞き、このころ最新の技術であった鉄筋コンクリートを素材にして、東本願寺函館別院の本堂を再建する事を決めた。このころ国内では横浜・関内の日本大通りに、日本初の鉄筋コンクリート製オフィスビル、三井物産横浜支店(明治43年築)が竣工したくらいで、日本の大建築というと煉瓦や木造が主流を占めていた時代である。 設計は世界最大の木造建築といわれる、京都東本願寺の御影堂(明治28年築)を手掛けた九世・伊藤平左衛門が担当する事になり、京都東本願寺の阿弥陀堂を模した姿で作られることになった。あと個人的に感心するのは、当時函館の檀家代表だった三代目・渡辺熊四郎の意地というべきか、あくまでも京都の本院に近いものを作ろうとした点。函館を例に出すと、基坂の旧函館区公会堂が函館の豪商・相馬哲平が寄付により建設されたように、この当時の函館の有力商人たちは豪華な建物を作る事にかなりこだわっている。それらは公会堂・寺院・病院・図書館等、公共性の強い建築である事も函館の特徴である。 明治45年(大正元年)より函館東本願寺の建設は始まったが、27歳の若き建築家がこの工事を取り仕切るため、前年に結婚したばかりという妻を伴い東京から函館へとやって来た。その建築家とは木田保造(1885~1940)、その人である。 〔3に続く・・・・〕 ◎設計:木子棟斎 ◎竣工:明治28(1885)年築 東本願寺函館別院は京都本院の阿弥陀堂を模して作られた。 しかし、明治末に鉄筋コンクリートで木造寺院を模したものを作ろうとした発想は、かなり大胆だ・・・・。 ※2005年8月撮影
by sy-f_ha-ys
| 2007-08-18 12:13
| ■木田保造作品〔函館〕
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