by ヨウタロウ研究員
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・・・・・美しいゴシックスタイルの鐘楼を持つ、函館のランドマーク的教会 先日、筆者がこれまで撮影した函館の建造物の写真をチェックしたのだが、その中で数多く写されていたのが、元町のカトリック教会の写真だった。函館訪問時には滞在期間が短いこともあり、気になった建物を一度に纏めて撮影するようにしているのだが、そのような写真の間に必ずと言っていいほど登場するのが元町カトリック教会の画像だったのである。 海側の電車通りから坂を上り、坂上の元町に辿りついた解放感なのだろうか、その美しい姿についカメラを向けてしまっているのだろう。晴天の下の元町カトリック教会も素敵だが、曇りや雨の時も絵になるのがこの教会の魅力である。 この教会の歴史については、ガイドブックなどで多く紹介されているので、ご存じの方も多いと思うが、安政6(1859)年に来函したパリ外国宣教会のメルメ神父が、この地での布教をおこなったのが函館元町カトリック教会の歴史の始まりである。また函館における同教団の布教活動はその後も順調だったようで、明治10(1877)年に元町に木造の聖堂を建設する。しかし明治40(1907)年の大火でその聖堂は焼失したため、それに代わり今度は煉瓦製の聖堂を再建。しかしこの煉瓦製の聖堂も、大正10(1921)年10月の大火では外壁を残して焼け落ちてしまった。 そして大正10年の大火後、同教団は焼け残った教会の外壁を生かした新しい聖堂の再建に着手する。このとき同教団が再建工事を依頼したのが、東京に拠点を置く請負師・木田保造(1885~1940)率いる木田組だった。 木田と言えば日本初の鉄筋コンクリート製寺院として名高い、 東本願寺元町別院(大正4年築)の施工を手掛けた人物。また大正10年の大火時は東本願寺別院は火災の類焼地域にあったものの、ほぼ無被害だったことで函館の政財界をはじめとする有力者からの評価が高まり、これ以降同地で数多くの鉄筋コンクリートによる建造物の設計・施工を手掛ける事になったというのは、以前にも紹介した通りである。 木田は大正10年大火後の元町カトリック教会の復旧工事で、火災で焼け残った聖堂の煉瓦壁をモルタルで補強。更に現在お馴染みの美しい鐘楼を、鉄筋コンクリートにて大正12年12月に竣工させている。またその二年後にあたる大正14(1925)年には。聖堂手前の司祭館を鉄筋コンクリートにて竣工させ、現在お馴染みのカトリック教会の姿が出来上がった。 ちなみにこの聖堂、鐘楼、司祭館の設計者についての詳細は不明である。なおこれは個人的な推測だがこの聖堂は、フランスの教団本部から送られた雛形や図案を参考に、施工を手掛けた木田保造や、現地の教団関係者が現地で多少のアレンジを加えて、今の姿が出来上がったのではないかと個人的には考えている。非常に均整の取れた容姿の教会を見るたびに、そのような事をつい想像してしまう筆者である。 度重なる大火の悲劇に遭いながらも、その時代の関係者の努力や知恵で、現在も美しい姿を維持している元町カトリック教会。美しい聖堂内の装飾や祭壇にも注目して頂きたいのは勿論だが、この美しい教会が完成するまでの経緯にも、是非注目して頂きたいものである。 ◎設計:不詳 ◎施工:木田保造(木田組)・・・・大正10年大火後の改修・増築工事を担当 ◎竣工:聖堂・・・・・明治40(1907)年ころ 鐘楼・・・・・大正12(1923)年 司祭館・・・・大正14(1925)年 ◎構造:煉瓦造モルタル補強・・・・聖堂 鉄筋コンクリート造・・・・鐘楼、司祭館 ◎所在地:函館市元町15-30 ❖函館市指定伝統的建造物 ※図版・・・・「建築雑誌」大正10年12月号・『函館大火調査報告』西村好時・関根要太郎・森田慶一著 ★撮影・・・・・2009年3月・6月・10月、2010年4月、2011年4月・6月、2012年7月
by sy-f_ha-ys
| 2013-06-08 18:08
| ☆函館の建物案内
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Comments(2)
Commented
by
kupoa_kupa_5i7i at 2013-06-10 00:44
ご無沙汰しています。
いつみても 心休まる鐘楼ですね この景観は ぼくもとても好きです。 昨年 お化粧直しが終わった建物を目にしたとき 何故か感慨深い気持ちになりました。
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Commented
by
sy-f_ha-ys at 2013-06-10 19:23
kupoa_kupa_5i7iさま、国指定重要文化財のハリストス教会の荘厳さとは違い、敷地内に保育園があったり、たまにバザーやイベントなんか催していたり、とてもアットホームな教会ですよね。
私はそのようなアットホームな教会の鐘楼に心が休まります。元町のランドマーク的な存在ですよね。
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