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◆当ブログのタイトル『関根要太郎研究室@はこだて』は、大正から昭和初期に函館をはじめ日本国内で活躍した建築家の故・関根要太郎氏を紹介したく付けさせていただきました。また、関根氏の作品の他にも、同氏の設計作品が多く残る函館の歴史的建造物や、同時代のモダン建築なども紹介しております。
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・・・・・・お堀端に建つ、戦前昭和モダニズム建築の傑作 本日も前回の東京中央郵便局に続き、東京丸の内界隈に残る美しい戦前築のモダニズム作品を紹介したい。それはお堀端の第一生命館。昭和13(1938)年11月に竣工したこのオフィスビルは、その筋のファンからは戦前のモダニズム建築の記念碑的作品として知られる。だが、それよりも戦後GHQの本部が置かれていた、戦後史の舞台となった建物と言ったほうが馴染みのある作品かも知れない。 この近くにあった日比谷の三信ビル(昭和4年築)は残念ながら数年前に解体されてしまったが、明治生命本館(昭和9年築) 、日比谷公会堂・東京市政会館(昭和4年築)と共に、この界隈の景観を彩る歴史的建造物の一つである。当ブログでは第一生命館については、今から3年前に函館・東京などで戦前活躍した請負師・木田保造(1885~1940)率いる木田組(深礎工業社)が、基礎工事を担当したという紹介記事を発表させていただいたが、今回はその上に建つ建物本体について簡単ながら紹介してみたい。 第一生命は昭和初期、東京の京橋に東京駅などの設計で知られる、辰野葛西建築事務所設計による本社屋を構えていたが、こちらでは手狭になったため同社は有楽町に本社を移転することを決定。新社屋建設に関しては公募による設計競技がおこなわれ、その当選案10点を参考に建築家・渡辺仁(1887~1973)と、当社の営繕課長だった松本與作が実施設計をおこない、竣工に至ったという。 そしてここからは少し脱線した話になってしまうが、皇居のお堀端に建設される事になった、この第一生命本館のためデザインを練っていた一人の建築家がいた。その人物とは、当ブログでもお馴染みの建築家・関根要太郎(1889~1959)である。 この幻の[第一生命館、関根要太郎設計案]は、昭和11年の秋に関根の出身校である東京高等工業学校の同窓会により企画・刊行された、「生い立ちより今日まで」という会員各自の半生を綴った自叙伝の中に収録されている。ちなみに関根の自叙伝の巻末は、自らの設計作品写真が何点か掲載されているのだが、その中に第一生命本館の規模と同様の、お堀端から透視した感じの完成予想図が3点収録されているのだ。 関根の自叙伝というのが文庫本サイズの小さいもので、残念ながら図版脇に書かれている文字は判読出来なかったが、第一生命館とほぼ同じ規格の平面計画や軒高、お堀から透視した図案などを踏まえると、関根が第一生命本館の設計を練っていた証拠と考えてほぼ間違いないだろう。 この頃の関根は、不動貯金銀行の営繕課長に就任。不動貯金銀行各支店の設計という安定した仕事はあったが、大正末から昭和初期に比較すると大規模な設計の仕事を担当することは出来ていなかった時期なので、関根が建築家としてやりたかった一面を伺える貴重な史料である。 ◎設計:渡辺仁、松本與作 ◎施工:清水組 ◎竣工:昭和13(1938)年11月 ◎構造:鉄骨鉄筋コンクリート造7階建て、地下4階 ◎所在地:東京都千代田区有楽町1-9 ❖東京都選定歴史的建造物 ★関根要太郎による第一生命本館設計案 ※図案・・・・「生い立ちより今日まで」関根要太郎著、昭和11年、私家版 ******************************************************* ★撮影・・・・2011年7月、2016年3月
by sy-f_ha-ys
| 2012-07-28 17:28
| ◆昭和モダン建築探訪
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Comments(2)
関根さんの設計案でいってたらもっとシャレてたかもしれませんねぇ...
貴重な資料を見られて良かったです。 明治生命はとても重厚な建物だし、これはひとつの完成形だと捉えています。個人的には扉なんかのデザインが好きです。 お隣の帝劇、そして東京會舘...と、この辺りは壮観だったでしょうけれど今や昔。しかしながらこの建物がアンカーの様な役割になってくれているのか、日比谷の交差点付近はまだ引き締まっているし後世にずっと残してほしい建物です。
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sy-f_ha-ys at 2012-07-30 20:02
tokyo102さま、この第一生命館は建築家による優秀応募案10点を参考に今の姿になったとの事です。その10点に残った建築家の名が不明でして、関根さんの案が残っていたかは謎です。
明治生命館は、外観・内装とも現存する戦前築のオフィスビルの中では、日本橋の三井本館とともに傑作だと思います。先代の帝劇や東京カイ會舘に比べると多少劣る点もありますが、この二軒のビルは戦後を代表する建築家・谷口吉郎氏の設計によるものです。高度成長期のビル群の中では秀でた作品ではないかと私は考えます。 第一生命館の外観はともかく、モダンなインテリアをDNタワー建設時にもっと残して貰えたなら、この建物の価値がもっと上がっただろうにとも思ってしまいます・・・・・。
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