by ヨウタロウ研究員
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・・・・・自民党本部前に建つ昭和12年竣工の白亜のモダン校舎 東京都千代田区に残る戦前築の鉄筋コンクリート製の公立小学校舎というと、大正15年に竣工したドイツ表現派風の九段小学校(旧上六小学校)がよく知られるが、その他に同区内にはもう一つ戦前築の鉄筋コンクリート製校舎が現存している。それが今回紹介する旧永田町小学校だ。また現在この校舎は、この北にある区立麹町中学校の仮校舎として使われている。 旧永田町小学校の建つ場所は、皆さんもテレビニュースなどで一度は目にした事のあるかの自民党本部前。また国会議事堂や議員会館の真横という場所にこの旧小学校はある。 今の感覚からしてみると、どうしてこんな場所に小学校が建っているのかと疑問に思ってしまうが、永田町小学校が開校したのは国会議事堂が竣工した時期より遥か前の明治41年のこと。なお明治末期と昭和戦前の永田町・霞が関の地図を見てみると、この界隈は省庁の庁舎や各大臣の官舎の他に一般住宅もかなりあったようで、この小学校にも数多くの児童が通っていたと想像される。ちなみに永田町小学校には高級官僚の子息たちが通っていたことから、立身出世コースの第一歩的な学校として持て囃されていた時期もあったという。 また現在の旧永田町小学校舎が竣工したのは、昭和12年10月のこと。 なお同小学校は明治41年の開校以来、東京市営繕課長を務めていたこともある在京の建築家・三橋四郎(1867~1915)の設計による木造校舎を使っていたが、昭和10年頃より新築校舎の必要性が東京市や麹町区の関係者のあいだで議論されるようになり、建設に至ったのが鉄筋コンクリート製の現在の校舎だった。 この永田町小学校は、戦前に建てられた終りごろのコンクリート校舎の一つだが、この時期東京市内に建てられていた小学校舎と同様、装飾的要素を排除したインターナショナルデザインを基調にした外観の造りになっている。 また自民党本部側の正面入り口は少し無口な印象を受けるこの校舎だが、最大の見所はその反対側部分。実はこの小学校は傾斜の高台に建っており、その傾斜を活かし坂下の一部を地階として活用している。また一部分しか確認できなかったが、この他にも立地に応じた巧みな設計がされているようだ。 ◎設計:東京市 ◎施工:不詳 ◎竣工:昭和12(1937)年10月18日 ◎構造:鉄筋コンクリート造3階建て、地下1階 ◎所在地:東京都千代田区永田町2-19-1 ❖現在、この校舎は学校施設として使われております。見学に際してはご配慮お願いいたします。 ご覧のように傾斜地を活かし、坂下から見ると4階建ての構造になっている。 本文でも紹介した建築家・三橋四郎に設計によるもの。 現在の校舎と同様、自民党前の道路に面して横長な校舎が建てられていたことが分かる。 ❖「麹町区史」昭和10年、麹町区役所発行より ********************************************************* ★参考文献・・・・・・「千代田区教育百年史」 千代田区教育委員会発行、昭和55年 「麹町区史」麹町区役所発行、昭和10年 ★撮影・・・・・2010年3月
by sy-f_ha-ys
| 2010-03-06 06:06
| ◆昭和モダン建築探訪
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Comments(8)
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es
at 2010-03-07 19:45
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地図で確認しましたが、こんな所に学校があったなんて全く気付きませんでした。
現代の感覚で言うと、本当に何でこんな所に?といった印象ですね。 自民党の向かいという事は子供達は日本の戦後政治の全てを(良くも悪くも)肌で感じてきたんでしょうかねぇ。
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sy-f_ha-ys at 2010-03-08 20:25
esさま、戦前この界隈はそれなりに住宅もあったようで、この永田町小も地元の子供が数多く通っていたようです。
そういえば現在の霞が関、首相官邸の下あたりは戦前三年町というお屋敷街だったそうです。今からは信じられませんね。 あと自民党も野党となり、この前の警備が厳重ではなくなったのも時代の流れですかね。でも私服❖❖らしき方が、そっぽを向いたふりしてこちらを何となく監視しておりましたが・・・(苦笑)。
こんにちは。
僕の母校は永田町小からほど近い、麹町幼稚園・小学校、麹町中学校ですが、校舎建て替えで現存しておらず、この界隈の学校は永田町小を残すのみとなったこともあって、是非このまま残しておいて欲しいです。僕の(中学時代の)同級生にも永田町小の出身者は多く、親しみ深い所です。昔はこっちの校庭でも遊んでいました(笑) ちなみに、上のコメントにコメントですが、旧第一学区は、公立でありながらも越境して通っている人が多く、出身者は千代田区外の人も少なくありません。
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sy-f_ha-ys at 2010-04-28 20:13
tokyo102さま、千代田区の戦前築の校舎といえば旧永田町小の他には、番町の九段小を残すのみですから、なかなか貴重な建物だと思います。1920年代の表現主義の薫り漂う九段小に対し、装飾を排したインターナショナルデザインの外観もさることながら、傾斜地という地形を活かした校舎の設計も面白い建物だと思います。
そういえば私が小学生だった頃も、越境編入で中央区や千代田区の学校へ転校していった同級生が何人かいたのを思いだしました。永田町小の校舎と校庭は眺めが良さそうですね。そこで遊ばれていたとはちょっぴり羨ましいです(笑)。
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joezan
at 2016-06-14 15:01
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永田町幼稚園から小学校へと8年間お世話になった校舎です。とても懐かしい。60~70年安保の時代、機動隊の車両が校舎の周囲を囲むこともありました。
浅間山荘の攻防も授業中にTVで見ていました。当時のクラスのほとんどは千代田区外からの越境通学で、○○君は千葉の市川から通っていましたね。また高い建物はほとんどなく、東京タワーがよく見えました。時代の流れで統廃合されると聞いたときはとても寂しかったですが今もこうして当時のまま残っていると嬉しいものです。懐かしい画像をありがとうございました。
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sy-f_ha-ys at 2016-06-15 20:49
joezanさま、はじめまして。
このたびは当ブログにコメント頂き、誠にありがとうございます。 joezanさまは、今から40年近く前こちらの学校に通っていたとのことですが、ほかの地域ではない時代を感じながら、ここの校舎で学んでいたのですか。しかし国会などが建つの高台からの眺めは、本当に素敵そうですね。あと校舎の写真は数年前に撮影したものになります。区の施設などとして、この校舎が末永く使われればいいですよね。
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おーたん
at 2021-02-23 14:36
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sy-f_ha-ys at 2021-02-23 21:53
> おーたん様、本日はコメントありがとうございます。
わたくし1972年生まれですが、あさま山荘事件や 札幌オリンピックなど激動の年だったのですね。 あさま山荘事件の主犯の人が、お隣の麹町中とは 初めて知りました。
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